マリンバでの演奏会終演後、とあるお客様から質問がありました・・・
ドラムやピアノと一緒にジャズをやるあの楽器もマリンバ?余韻がワーンワーンするやつ・・・
それはVibraphone(ヴィブラフォン)ですね!
ヴぃぶらふぉん?それも木琴なの?
いいえ、鉄琴なんです!
Vibraphone・ヴィブラフォン
(画像:野中貿易)
学校の音楽室にもひっそりとおいてあるが多いこの楽器。
ルパン三世のテーマ’80(Vib:大井貴司さん)や
フジテレビ「小川宏ショー」(Vib:小川哲さん)(昭和45年から12年間毎日演奏されていました。)
などでお茶の間のファンを獲得しました。しかし、楽器の名前はうろ覚えだったり、知られていないことも多いようです。
今回はこのヴィブラフォンについて、マリンバとの違いも交えながら書いていきます。
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Vibraphoneの読み方・呼び方
「ヴィブラフォン」「ヴァイブラフォン」「ビブラフォン」といいます。楽譜上では略して「Vib.」等と表記され「ヴァイブ」等と呼ぶこともあります。
マリンバとヴィブラフォンの違いは?
マリンバは木琴の仲間、ヴィブラフォンは鉄琴の仲間です。
同じ鍵盤打楽器の仲間ではありますが、似て非なる楽器です。
違いを表にまとめてみました。
Vibraphone | Marimba | |
音板 | 金属製 | 木製 |
音域 | 3オクターブ | 4オクターブ~5オクターブ |
大きさ | 幅141㎝(M-55GJ) | 幅261㎝(YM-5100A) |
マレット | 綿糸、毛糸 | 毛糸、綿糸 |
余韻・残響 | 長時間のびる | 短時間ですぐに減衰する |
ペダル、ダンパー | あり | なし |
ファン、モーター | あり | なし |
連弾の可否 | なし | あり |
ヴィブラフォンの特徴
鍵盤打楽器である鉄琴・ヴィブラフォンは、木琴と同様に音板がピアノの音列に配置されておりその下には共鳴管があります。
その他に、3つの特徴があります。
- 音板が金属製であること
- ペダル、ダンパーがついていること
- ファン、モーターがついていること
音板が金属製であること
鉄琴ということから連想できるように金属製で「アルミニウム合金」が使用されることが一般的です。たたくと音がのびます。
ゴールドとシルバーの2色で展開されていることが多く、好みの色を選択できます。
ペダル、ダンパーがついていること
音がのびる音板をコントロールできるのは、ペダルとダンパーがついているからです。
足元中央にあるペダルを踏むとダンパーが音板から離れ音がのび、ペダルを離すとダンパーが音板に触れることで音がとまります。
ファン、モーターがついていること
たたいた音の余韻・残響にビブラートをかけることができるのは、ファンとモーターがあるからです。
音板の真下に配置される共鳴管の上端には「はね」がついています。これを電源モーターで回転させることでファンとして稼働します。ファンによって「はね」が開閉します。開くと音が大きく、閉じると音が小さくなるような響きの増幅・振動を作り出しビブラートとして表現されます。回転速度は好みに調整することができます。
音板を外してみると、下記画像のように「はね」が顔を出します。(画像は黒鍵側のみですが白鍵側も同様の仕組みです)
モーターは取り外しができます。わたしはノン・ビブラートを好んでいるため、自分のヴィブラフォンについていたモーターは取り外して使っています。
演奏方法
マリンバは連弾も可能ですがヴィブラフォンは一般的に一人1台で演奏します。
奏法はマリンバと同様にマレットを用いてたたきます。
マレット
綿糸や毛糸のマレットを2~4本使用します。
特殊な奏法も可能であり、楽譜の指示に応じて真鍮・ゴムのマレットや、弦楽器の弓を使うこともあります。
ダンプニング(Dampening)
余韻・残響をペダルでコントロールすることに加え、マレットを使って音をとめる(ミュートする)「ダンプニング(Dampening)」という奏法があります。
この奏法は、コードをおさえたまま1つの音程を加減できます。他の楽器にはない魅力の一つです。
歴史
1916年頃Leedyによって実験が始まり1921年に「Vibraphone」と名付けられ最初に販売されましたが、その楽器は今とは大きく異なっていたようです。Leedy Vibraphone はある程度の人気を博しました。1927年に競合他社のDeaganがSchluterに開発を依頼しました。Schluterのデザインは、Leedyのデザインよりも人気があり、現在「Vibraphone」と呼ばれているすべての楽器のテンプレートになっています。1928年DeaganがSchluterの楽器を「Vibraharp」として販売を開始しました。Deaganが「Vibraharp」を商標登録したため、他のメーカーは新しいデザインを組み込んだ楽器に以前の名前「Vibraphone」を使用することを余儀なくされました。
1930年代~1940年代にかけて、各メーカーはさまざまな専門分野で独自の支持を集めましたが、DeaganのVibraphoneはジャズプレーヤーの多くが好むモデルでした。1980年代にDeagan社は廃業し、その商標と特許はヤマハに買収されました。
Deaganにデザイナーとして務めていたClair Omar Musserによって設立されたMusser社ではLudwigDrum Companyの一部としてVibraphoneを製造し続けており、現在も多くの人から業界標準と見なされています。
JAZZのVibraphoneとしてはライオネル・ハンプトンによって普及しました。1930年に録音された「Memories of you」がVibraphone Soloの即興が入った最初の録音と言われています。
クラシック音楽では、アルバン・ベルクのオペラ「ルル」の中で効果的に使用されたのが最初の事例です。クラシック音楽のジャンルではそれほど広く使用されていませんが、バーンスタインの「ウエストサイド物語」や映画音楽などでよく耳にすることができます。
現在、ジャズの楽器として使用されるほか、ソロ、室内アンサンブル、現代のオーケストラ曲でよく使用される主要な鍵盤打楽器として確立されています。
(出典:Deagan Vibraharp/Leedy Vibraphone)
メーカー
Vibraphone の製造をしている主なメーカーです。
国内メーカー
海外メーカー
生産終了しているメーカー
Deagan
いくみのひとこと
今年(2021年)にヴィブラフォンが楽器が誕生してから100年を迎えました。
楽器は進化し続けており、最近販売されているものはペダルの自由度が増えていたり高さの調整が可能だったりするものもあります。
私が持っている楽器YV-3000はすでに生産終了している楽器なので、新しい機能のある楽器をみると羨ましく思いますが、今ある楽器もいい音がするので、大事に使っていきたいです。
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